今回は、かまぼこ板についてお話したいと思います。
よくある質問に、「なぜ蒲鉾には板がついているの?」というのがございます。室町時代からあるといわれる蒲鉾なので本当の理由は定かではありませんが、蒲鉾を成形するときに何かにのっていなければ、成形も困難で蒸すこともできません。その当時、蒲鉾のすり身をのせることが出来たのが板しかなかったのではないかと思われます。蒲鉾だけではありませんがほとんどの食品は造ってから水分を離してゆきます。これは遊離水といいますが、好ましいものではありません。腐敗の原因にもなり風味を損ねることにもつながります。その遊離水を板が吸い取ってくれるのです。もともと木も水分を吸ったり離したりする性質がありますので大変都合がいいものであります。最初に蒲鉾を造った方がそれを知っていたかは分かりませんが・・・・
蒲鉾板を造る原料についてですが、昔から杉かモミ系の原木が多く使われております。それぞれ長所短所はあります。杉の場合、香りはいいのですが使用する部分によっては少し色がついております。特に木の中心部は濃い色なので使用できません。蒲鉾に色が移ってしまいます。柱などの建築材をとった後の外側部分を使用するのがいいとされております。モミ系については、色白でいいのですが木の種類や育った場所、使用する部分によっては異臭がすることがあります。お客様からのクレームで消毒臭いとか薬臭いと言われることがありますが、ほとんどはこれが原因であります。
それに蒲鉾板は大変な精度によって製造されております。包装機等の機械のセッティングをミリ単位で行うため板のサイズが少しでも違えば機械にかみこんでしまいトラブルの原因となってしまいます。また板の表面が少しでもザラついているとすり身との間に空気が入り、蒸したときに気泡が発生してしまいますので、高級家具並みに仕上げるカンナがかかっております。